
ほん呪初の派生シリーズであるスペシャル版ということで、尺も90分という普段より増量という形で始まる作品。
どういうわけかナレーションを入れなかったというところも気になるところではありましたが、かえってそっちの方が内容からして良かったかも知れません。
と、いうことで感想をバシバシ書き殴ってみます。
ほんとにあった! 呪いのビデオ Special 1 各章のレビュー
現行のほん呪シリーズでは進行役の中に女性がいるのは普通なわけです。
しかし、その流れはここから始まったと言ってもいいでしょうね。
スタッフの井口綾子が第一号ということで、初っ端からクレーム対応に追われるという形で見せてくれます。
呪いのビデオはあくまでエンタテイメントとして発売しているが、それを見て気分を悪くなったりする人がいたりする。
それは発売している会社の原因だろ?と言わんばかりの視聴者と、会社側はお祓いしているから万全の対応はしているという形。
私個人が思うに明らかに視聴者側の問題であって、それは自己責任じゃないか?と感じるわけです。
でも、アメリカの様な訴訟大国なら、大問題になったら販売会社が負けてしまうと言うようなこともあるのかも知れません。
続・作業服の男
ほん呪2のトリである作業服の男を追撃したかのような作りになっていますが、2で呪いが発動した投稿者とその周りの見てしまった人がその後どうなっているのかは判明せぬまま。
あくまで結局、うつりこんだ作業服の男だ誰であったのか?という答えに終始しているコーナーになっています。
落盤事故というのは昭和初期には至る所であったものであり、それを隠蔽しようとする鉄道会社の実際にあった話というのを絡めている辺りはお見事な構成といったところです。
肝心要のヤナガワさんが死んだ理由と事故を隠蔽しようとした会社側というところを強引にくっつけてしまっているのはいただけないですが、一つのドキュメンタリー?として見るならば短い尺では、よくまとまっていたと思います。
視聴者が映像で何かを言っているというのを構成の中村さんや鈴木さんが聞こえないよとバッサリ切り捨てるあたりは、作品に不思議感を残す為に敢えて言っていることの様に見て取れますが、実際にしっかりとヤナガワさんは『怖いよ』といっております。
ストーカー
執拗なストーカーに悩む女性であるが、当のストーカーは既に死んでいたということであり、それじゃ映像に映っていたのは誰?という気持ち悪い展開ですね。
肝心要の映像は初見の時も今も全く怖いものではありません。
ですが、一方的なストーカーのイカれている心情というのは、うまく込められていたと感じます。
探偵に詰め寄られて一目散に逃げるストーカーのチキンぶり。
だけど、当の女性に留守番電話に気合を見せつける辺りの痛さは笑ってしまうものがあります。
しかし男にしろ女にしろ、一回、惚れ込んでしまうと場合によってはそれは狂気に変わるというのはいつの世も変わらない人情であったり・・・。
ストーカーになる人間の気持ちは理解しがたいところではありますけどね。
続・父を呼ぶ声
Special版最大のエピソード。
前作での『お父さん』という不可解な声のコーナーを、まさかこれだけ発展をさせるというのは、よく考えついたなーと感心します。
群馬県F市となっていますが、F市というのは藤岡市しか存在していないので、同市の小学校をくまなく探してみるとロケ地は容易く見つけられることでしょう。
実際にはこの事件というのは所謂、疑似ドキュメンタリーであり、類似事件を緻密に再現したというものであると思います。
このエピソード最大の重要人物である大山隆雄さんは、テレビ番組の再現ドラマなどでお父さん役で出演していたりするのをみたことが数度あります。
しかし、非常によく出来ていると感じるフェイクメンタリーであり、グイグイと引き込まれる感は初見の時も今も変わらない。
このエピソードというのは映像が怖いと言うのではなく、その得体の知れなささに怖さを感じるもの。
はじまりが不可解な声がいう『お父さん』という心霊現象を調べていたのが、過去の事件にいきついて、今度は亡くなった子供たちの『お父さん』が誰なのかを探る展開になっていくというのが肝。
謎を残したまま終わったかに見えるわけですが・・・。
続・白い着物の女
初見の時も既に感じていた事ですが、既にお腹いっぱい感が・・・。
明らかに貞子に触発されている幽霊を引っ張りすぎだろうと感じるわけです。
まあ、テーマ的には過去作品を見た視聴者の反応を取り上げるというものなので致し方がないわけですが、それでも投稿映像がガチとは思えないわけで・・・。
カニ鍋をする女性の一人がいざ問題のシーンに差し掛かった時に吐いている台詞を詰まらせる辺り、それを如実に表しているようにも思えるのですが(笑)。
続・タイムカプセル
前作で非常にどこか胡散臭さを発揮していた投稿者の脇田さんの化けの皮が剥げ落ちるという展開。
優等生を装っていて、実は何でも自分が中心でいないと気が済まない為に、面白おかしく作り上げる性格の主というのは、特に子供の時、周りに1人は必ずいたような気がします。
案の定、脇田さんがネタにしていた大橋さんが登場して、事実と違うことが判明する辺りは『ざまあm9(^Д^)』と、いう気持ちが湧き上がるわけですが、問題はその後ですよ。
ここで突然、梅木さんというダークホースが話題に登場し、大橋さんにかぶる顔に似ているという心霊ネタの八艘飛びが展開。
更には梅木さんを大橋さんがイジメていたという話までもが飛び出す始末。
こうなってくるともはや収拾がつかないわけで、もはや心霊を扱うビデオではなくなっていたわけですが、人間が怖いという意味では納得できる部分もあったり。
結局、脇田さんが大橋さんをイジメていないとあれだけ否定していたのにも関わらずに、最後に『ムカつくんだもん』と小声で言う辺りに答えは集約されているのでは?と。
ニュース映像の怪~そして・・・
今作のヒロインといってもいい井口スタッフの友人から持ち込まれたビデオが発端。
ニュース映像にうつってしまった謎の人の顔というのは、非常に斬新であり、それを調査していたときに知り合ったのが霊媒師という恰好の仲間。
最初は霊媒師の中田さんは中村さんたちスタッフを敵視しているわけですが、圭子ちゃんはどうなっている?という共通の目的のために手を組む様な形に。
ロールプレイングゲームの様な展開が炸裂しますが、そこで終わるわけもなく視聴者としては数十分前に謎のまま強制的に締めくくられた世界に戻される演出が妙に只ならぬ気配を感じさせます。
実際にそんな奇妙な偶然なんかがあるわけもないので、一瞬でこれはフェイクメンタリーだと分かってはしまうけれど、引き込まれてしまうわけでして・・・。
霊媒師という常人には理解できない特殊能力を頼るかのように、スタッフルームでの怪奇現象をさりげなく中田さんに相談してみるという周到ぶりも非常に細かくシナリオを作りこんでいると感じます。
結果的にそれは中田さんの半ば暴走を誘うことになるわけですが、まるでラスボスの居城とでもいう大山邸の内部を撮影するということになり、本当の黒幕が隆雄さんであったかのように話は展開するというのが素晴らしいと言えます。
この話自体は完全に作りこまれているのは間違いないですが、こういうことって決して珍しい話ではない。
父親が不運にも亡くなり、残された奥さんやその子供。
母親はその後の経済的、精神的不安から近い存在の頼もしい父親の兄弟を頼るようになる。
頼られた側も自分を求めてくる女性を無下にすることもできずに、守りたいという心境になり、次第にそれは同情から愛情に変わる。
しかし、物事を俯瞰できない子供たちはそうは思わず、特に思春期を過ぎた辺りの男の子なんかは、父親とは違う男に母親を盗られたと感じて、その精神を崩壊へと進ませる。
こんなことは女性が自立できない古き時代はよくあったことであり、そういう家族内の深淵が時に爆発し、忌まわしい事件を引き起こすというのは例があるわけです。
こういった人間の深層心理をうまく心霊ビデオで表現している辺り、中村義洋監督やその周りのスタッフは凄いと感心してしまいます。
総評
ほん呪Special版に関して書いてみましたが、昔の作品を見ていない方も今のファンには多いかと思います。
もしも見ていないなら是非、見て欲しいですね。
現行の作品に慣れてしまっていると、物足りなく感じるかも知れません。
しかし、派手な演出もナレーションもないけど、どこか外堀を埋められてしまっているような怖さは感じれる素晴らしい作品です。
幾つか無理があると感じる部分もありますが、それをさっぴいても非常によく出来ていると思います。
☟ネタバレやレビューは以下のリンクから☟
・ほんとにあった! 呪いのビデオSpecial1のの内容
・ほんとにあった! 呪いのビデオSpecial1のネタバレ
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