
ほんとにあった! 呪いのビデオ7は半年という冷却期間を経て公開。
だからなのかは分かりませんが、非常に練り込まれて仕上がった様な印象が見て取れます。
そんなわけで視聴した感想を述べてみます。
ほん呪7の各章のレビュー
死者から返却されたビデオ
当時はDVDメディアが出だした時であり、レンタル屋はまだ在庫棚にはVHSも目立つ感じでしたね。
VHSならではのことであり、ツメにテープを貼ったり、ティッシュをつめたりすると、誰でも元の映像を潰すことが出来ました。
そういうVHSを使い慣れた人間ならば、誰でも一回はやっていることを取り入れて、心霊映像に繋げるという演出は斬新であったと感じます。
ですが、肝心要の映像が『また白い着物の女か・・・』という具合で初見の時も今みてもガックリとさせられます。
これがまた別の怖い心霊映像であったならば、◎(二重丸)の出来であったのが悔やまれるのですが・・・。
火事
火事の模様を捉えた映像の燃え盛る炎に被さるようにして映っている苦しんだ顔は、非常に気持ちが悪く怖いという映像であったと思います。
ですが、少々、解せないのが投稿者がビデオを撮影したと語る時ですよ。
12年前に撮影した火事の模様ですが、どうみてもその時は投稿者は小学生であったはずであり、その頃のビデオカメラは一般の人間にはとても高価なもの。
更には大きかったものだったはずなので、それを小さな投稿者が団地の壁から見下ろす形で火事の模様を撮影できるわけはないと思うのです。
これは明らかにプロットをミスっていたなーと感じる箇所であり、この時点でフェイク確定といってもいいのではないのかと感じ、少々、落胆という具合でした。
浴槽に浮かぶ髪
映像自体はさほど怖いものではありませんでしたが、投稿者夫婦がやたらと得体の知れない髪の毛に悩まされるという話が微妙に気持ち悪さを漂わせています。
子供と入浴している湯船はおろか、洗面台、換気扇に巻き付いている、部屋にも散乱、そしてそれが焦げた臭いがするというのは、想像しただけでも鳥肌が立つ思いです。
それらのいずれかでも問題の映像に映っているというものであったならば、更にこのコーナーはパンチが効いたものであったとは思いますが。
留守電に残された声
問題の声が実は投稿者の祖先の名前を呼んでいたという、ある意味、心温まる心霊音声という具合です。
声そのもの自体は低音で不気味なモノでしたが、オチが分かると全く怖くないとなってしまう感じ。
しかし、それよりも投稿者の表さんと母親、そして問題の声の謎を解く父親のいずれもがハッキリとした関西弁で明るい声を出しているのが印象的。
どこか、この家族って本当に幸せそのものなんだなーという雰囲気が伝わってくる気がします。
そして、埼玉県音響粒子学研究所の井上剛氏という、存在が疑わしい先生が現れるわけですが、非常に爽やかな科学者という具合。
個人的には問題の心霊音声よりも、井上氏が心霊音声を解説している時の喋り方と表情の方が怖く感じましたが、それはそれとして。
初日の出
非常に美しい初日の出の映像であると感じますが、そこに一瞬、うつるデコッパチの男とも女ともつかない白い顔。
それ自体は非常に気味の悪いものでありますが、初日の出の映像があまりにも素敵な為に、まるでインパクトが相殺されているかのような奇妙な気持ちになってしまいます。
魚釣り
基本的に私は心霊映像や心霊写真で身体の部位が消えているとか、映っているというものは、殆ど怖いと感じません。
これもそういった身体の部位系の心霊映像ですが、『ふーん・・・』という感じで、あまり語ることも無いという印象です。
投稿者やうつっている方たちも、普通のあんちゃん、ねーちゃんという具合で何も語ることもないという感じでした。
現像された8ミリフィルム
個人的に7の白眉といってもいいコーナー。
投稿者とその母親が亡き父が生前に意味深なことをしていたことを15年後に知り、その真実を確かめる為に取材を願うというサスペンス的な作りがたまらない。
そして、それが15年経った現在、明らかになるわけだが、現像されたフィルムには何故か父親の性格が伝わってくるかの様な切ない湖の風景などが映り込んでいるというのも、色んな想像を掻き立てさせる素材になっています。
問題の映像も決して怖いと感じることがないわけですが、どこか意味深でもあるそんなフィルム内容。
構成の中村義洋さんも投稿者にそれとなく、父親は一人で旅をしている最中・・・と付け加える言葉掛けも印象的。
お祓いをした理由とは別に、特に母親が感じそうな父親のもう一つの顔を打ち消すかのようなことを連想させるさりげない演出も秀逸です。
(私が勝手にそう感じただけなのですが^^;)
これをもっと発展させて一つのテーマにしても良かったんじゃないかと思う位に、どこかノスタルジックな雰囲気を彷彿とさせるいいコーナーであったと思います。
浴室から覗く顔
投稿者の3人の女性がコミカルなタイツを着ている投稿映像の方がある意味、怖いという感じ。
問題の心霊映像は苦しんでいる老人のような顔ということでしたが、そう言われればそう見えなくもないというレベルであります。
しかし、本当に仲の良さそうな女性トリオであり、その辺は微笑ましくもあるのですが・・・。
誕生日
この投稿映像は幸せそうな家庭の前に現れた、亡き他の家族というものを表現したものであるのでしょうか。
火を吹き消した投稿者の娘の後ろに現れる白い影は左から母親、子供、父親という様に思えますが、心霊音声の方の会話の内容を聞くと、色々と見えてきます。
父親が帰らなくなった家族がおり、その理由は分からないまま母と子も命が潰えて、幸せそうな家族の前に現れたという想像が出来てしまうわけですがね。
動物霊
封印された曰くつきのビデオテープを現在のオカルト研究会の面々が解き放つという具合のコーナーですが、非常に面白いですね。
問題の映像も古びた映像の画質の荒さも手伝って、非常に気持ちの悪い仕上がりになっています。
それを見ている部員たちの表情や驚き方もリアリティがあり、まるでその場の臨場感が見ているこちらにも伝染してくるかのようです。
コーナーの仕上がりは素晴らしいと思うのですが、やはりここでもプロットミスがあるのでは?と感じるところがあります。
このオカルト研究会には金庫があって、そこに封印されたテープが保管されていたという。
しかし、かつてオカルト研究会は廃部になっており、投稿者の代で復活したということでした。
廃部になった部の金庫を片付けないで、そのまま放置されているというのは、少々、現実的ではないと感じます。
そして、大学に入った頃に噂をききつけた部員が金庫にしまってあったテープを見ようとして、先輩に怒られるというシークエンスですが、これもおかしい。
そもそもその時にはオカルト研究会はなかったんじゃ?ってことで、辻褄が微妙に合わないと思うのですが・・・。
以上の点から非常に生々しくリアリティがありますが、やはりこれもフェイク確定であると感じずにいられないのです。
そして、最後にスタッフロールが流れた後に、しつこいくらいの追撃として、白い髪の女の映像が流れ込むのですが、もうお腹いっぱいという感じでした。
総評
私の見立てでは分かりやすいプロットミスが数点ありましたが、コーナーどれもが楽に見れる感じで、作品全体の出来は非常にいい部類に入ると思います。
心霊映像を紹介して、視聴者を怖がらせるという基本コンセプト以上に、表現もそんな演出もされていないけど、投稿者の情景が浮かんでくるかのような作りもお見事であると思いました。
そして、これを最後に構成の中村義洋&鈴木謙一コンビのほん呪から、松江哲明時代の新体制のほん呪に突入していくことになります。
☟ネタバレやレビューは以下のリンクから☟
・ほんとにあった! 呪いのビデオ7の内容
・ほんとにあった! 呪いのビデオ7のネタバレ
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