ほんとにあった! 呪いのビデオ66のレビューとなります。
スタッフの菊池宣秀の作ったメインエピソードの中で一番のコーナーであると言える【六十六】が抜群の仕上がりを見せています。
徹底的に6という数字に拘りを見せている点が非常に印象が深いとも言えます。
ほん呪66の各章のレビュー
2016年3月6日にリリースされたPart66。
ちなみに2,1,3を足すと6になり、それにちなんだかの様に、一巻辺り、史上最小数の6コーナー。
更にメインエピソードの名前もズバリ【66】というものである徹底ぶりに、個人的には好感を持てる仕上がりになっています。
ぎょうさん
問題の映像は漆黒の洞窟内に浮かび上がる巨大な顔ということで、視聴者に与えるインパクトはかなりのものであると思います。
一言で形容すると、霊というよりは魔人という具合でしょうか・・・。
見下す様に投稿者たちを見つめるその表情は不敵な面構えであるようにも思えます。
実際にこんなものを目にした日には、小便をちびってしまうことは間違いないでしょうね・・・。
声
Part66の白眉的コーナーであります。
アダルティックなコーナーであると思わせておいて、実はそれは物語の設定上では、投稿者の中学時代の友人というオチ。
本来は男性であったはずなんですが、それはいいとして、プロット、恐怖度、衝撃度、展開は完璧に近いものがあるといっていいでしょう。
妖しい喘ぎ声が聞こえるというのは、集合住宅に住んだことがある人間ならば、一回は体験したことがありますし、その点でも見ている視聴者を引き込ませるには絶妙の素材であると言えますしね。
肝心の箇所に映り込む首吊りの様子と、窓の映る喘ぎ声の様なものを呟いているかのような、髪の長い女の表情がタダゴトではない破壊力を醸し出しているのは間違いありません。
六十六 前編
Part66と発売日にちなんで、6に徹底的に拘りぬいた素晴らしいメインエピソードですね。
日本の怪伝承として伝えられている【六部殺し】がベースになっている設定で、それを現代流にアレンジしたストーリー展開は、個人的には見ていて美味しすぎる内容です。
六部殺しの内容もそうですが、ある映像会社の内紛が土台となって、呪いが発動していくという流れが引き込まれます。
鶏が先か卵が先かのような流れなので、少々、分かり辛かったりしますが、この辺は見た人間がそれぞれ解釈してもいいのでしょうけどね。
後編では最後の六人目になりそうであったのが、演出補の今野恭成という展開であったのですが、それについては後ほど。
残留物
久しぶり?の逆さ系の心霊映像というべきコーナー。
そもそも廃ホテルであり、人なんか住める状況ではないのに、洗濯物が干しているという状態は、もはや普通ではなくそれだけ悪寒が走るものです。
肝心の箇所は微妙に見辛かった為に、然程、怖いとは思いませんでしたが、廃ホテル内部の言いようのない生々しさだけで、見ているコチラとしては充分であったりします。
シリーズ 監視カメラ パチンコ
然程、肝心の映像そのものには、インパクトは感じませんが、霊とおぼしきものの絵面は湧き上がる恐怖度を抑えることは難しいですね。
女が映り込む、子供が映り込むというのは、これまでにも多数ありましたが、赤ん坊を抱きかかえる女性の姿というのは、斬新であると感じます。
盗まれるようなものが何もないような潰れたパチンコ店であっても、警報が作動したからには仕事しなくてはならない警備員にいささか同情心が芽生えてしまいますが、本編とはそれは全く関係がないですよね(笑)
樹海
素人もののレポート風景がある意味、香ばしいわけですが、問題の箇所に映り込む女の頭は非常に気持ちが悪いものに仕上がっています。
さりげなくその目玉がギョロっと動く細かい演出は、怖い物を作って見せつけてやる!というような製作者側の真摯な気持ちが感じられますよ。
私くらいに怖いものを見慣れている人間は、この程度では全く動じないわけですが、それでも耐性が乏しい普通の人ならば夜一人で歩けない位の破壊力はこもっていると感じる一本です。
六十六 後編
このメインエピソードは仕上がりも素晴らしいのですが、敢えて明確にしていない仕掛けもある様に思います。
それが特に感じたのは、シネワイヅの内ゲバで退社した人間たちが六人いたのにも関わらずに、不幸が訪れたのは五人という設定。
あと一人いなければ、しっくりいかないところですが、解釈によっては最後の一人は今野であったと考えるとスッキリするんですよね。
これまで菊池作品を支えてきていた演出補の中で割と地味なタイプであった今野が一番、目立っています。
沼の場所を特定したスタッフ達がそこに赴いて訪れたのは、演出補の今野の異常な行動であり、身投げをしようとする様子。
それを感情剥き出しにして止めようとする菊池と山下の様子も、見ていてコチラも感情がこもってみてしまいます。
そこに駆け付けた川居がビビることなく、沼に入って行く様はさすがという具合です。
実際に川居が駆けつけた際、他のスタッフが履いていない、防水ズボンを履いている時点で、少々、リアリティが欠けてしまうのですが、それはまあいいでしょう。
むしろ、これは、川居がカメラを回していて、後から駆け付けた菊池が今野を助けるという演出だったら、更に締まっていたと言えるのですが。
結局、一致団結して沼から引き揚げた今野は命を取り留めるという展開も秀逸。
最後に紹介される悪酔いした傍若無人の若者が映る映像は、無数の巡礼僧が映りこむという様子は、恐怖と言うよりも圧巻の一言です。
シメとして入院している今野を欠いた状態で沼に手を合わせる川居と山下の様子は、どこか美しさも感じる光景であり非常に満足する内容でした。
総評
菊池宣秀が手掛けたメインエピソードの中では、最高作品と個人的に感じる【六十六】が素晴らし過ぎました。
他のコーナーも良いと感じるものがあり、Part66は全体的に完成度が高い作品であると私は思っています。
6に徹底的に拘りぬくというスタンスも見事に現れているとも思いますし。
そしてこの巻をもって演出補の山下と今野が降板するというのは、少々、寂しい気もしますけど、有終の美を飾っていたと言えるのではないでしょうか?
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・ほんとにあった! 呪いのビデオ66の内容
・ほんとにあった! 呪いのビデオ66のネタバレ