ほんとにあった! 呪いのビデオ62のレビューです。
スタッフが若干、変わり、それまでの雰囲気とは少々、違う雰囲気が作品から感じられますが、前作と異なって仕上がりが良いコーナーが多いと感じます。
また定番の夏の三部作【スケープゴート】が見ていて、非常に引き込まれる物語であると思います。
ほん呪62の各章のレビュー
バッティングセンター
この時期のほん呪の最初のコーナーは『わっ!』って驚かせる様な投稿映像を持ってくることが多いですね。
なので、怖いと感じてしまうのは致し方がないのですが、それを差っ引いても、この投稿映像は強烈な仕上がりを見せています。
カメラに向かってくるという演出は、割と誰でも吃驚してしまうわけですが、これもそんな感じ。
ですが、向かってくる子供の姿がは、とても見るに堪えないおぞましい様相を呈していますよ。
アスレチック
投稿者の丸木さんという女性が物凄く感じ良いです。
なんか、こういう人が『太陽』みたいな人って印象で、いきなり爽やかな気分にさせられます。
しかし、問題の映像は所謂、逆さ系の女というものであり、その女が実は丸木さんの父親の元の嫁さんであったというオチ。
ストーリー的には、そんな親の過去なんか知りたくなかったという娘の心中が表現されており、その点もどこか生々しく表現されています。
それに加えて、問題の映像は衝撃度と恐怖度ともに、それなりのレベルに達しているので、このコーナーは非常に完成度が高いものと言えるでしょう。
スケープゴート 前編
新しい演出補として山下洋助、今野恭成、佐藤千尋が加わっています。
山下と今野はどこか垢ぬけていないパッとしない印象があるわけですが、コーナーが進行していくうち、冷静沈着でニヒルな男という具合の印象を醸し出していきます。
佐藤千尋は小動物系の可愛らしいタイプの顔立ちですが、非常に凛々しい喋り方であり好感触な印象があります。
投稿者の彼氏が行方不明になったが、その原因の一つとしてゼミの准教授に汚れ仕事を手伝わされていたことが背景にあるというわけで、タイトルの『スケープゴート』という意味が割と初っ端から分かってしまうわけです。
その変わりとして単位をあげるという取引がそこにはあるわけですが、どうあっても汚れ仕事をさせられる方のリスクが高すぎるわけです。
こういったことは、社会ではよくあることであり、非常にストーリー的に他人事とは思えない何かを感じさせてくれるわけです。
前編で紹介される投稿映像は、割とインパクトもあり恐怖度も高いものでありますが、個人的にはそんなに怖いと感じるレベルではないと思いました。
続きの感想は後ほど。
シリーズ 監視カメラ 門
外の門に現れるポルターガイスト現象の後に、首のないスーツ姿の男が門から出て行くという投稿映像。
特に怖いともインパクトもあるとは感じませんでしたが、背景にはトラックに頭を潰された人間がいるというものがあり、話的にはどこかグロテスクなものを彷彿とさせるものですね。
こうした話の筋は菊池が作っているのでしょうかね?
どうも彼の作品にはグロテスク要素が盛り込まれることが多い感じがするのですけど、それはそれで作品にインパクトを込めるのにはアリではありますが・・・。
断崖
素晴らしく綺麗な断崖の様子が映っている投稿映像にウットリとしちゃいます。
私も女房とこうした場所へ遊びに行ったならば、投稿映像に映る彼氏の様にはしゃいでしまうでしょうね(笑)
問題の映像は身体の部位系ですが、なかなかのインパクトを誇っています。
しかし、内容的にはどこか片手落ちな気がしないでもありません。
彼氏が崖に引きずられこむところを、カメラを回す彼女が助けたみたいな映像であれば、更にインパクトを作品に込めることに成功したと私は感じますが・・・。
タイムカプセル
投稿者の伊藤くんが山下に解説する様子が、どうもグダグダで見ていて疲れてしまうわけですが、内容的には『なるほど・・・』という具合です。
這いつくばってカメラに向かって近づいてくるというのは貞子っぽい感じではありますが、充分、怖い映像としては申し分ないレベルに出来上がっております。
また伊藤くんたちが良かれと思ってやってしまった少女の思い出の品を両親に返却したことで、呪いが発動して火事で虐待していた義父が死ぬという顛末は後味の悪いストーリーとしては文句なしの仕上がりであると感じます。
このストーリーを考えたのは、おそらく菊池なのでしょうが、GJであると言えます。
救急車
個人的にPart62においての白眉的コーナーであります。
カメラを回す投稿者のムカつき加減は半端でないものがありますが、それはいいとして、肝心要の映像はインパクト、恐怖度供にかなりの代物であると思います。
結構、映像の演出は、これまでのほん呪作品と比べて、シンプルですが救急車の赤灯の光そのものが夜では不気味であるのに加えて、現れる顔は恐ろしい形相です。
カメラから見て逆さに映り込んでいる顔が口が動いているとか、瞬きしているという動きがあったならば、より凄まじく質の高い映像になったとは思いますが、これだけでも仕上がりは申し分ないものに達していると言えます。
続・スケープゴート 前編
ゼミの教室に不意に現れた謎の少女を調査する展開になるのですが、ここで話の筋が二つに分けられるわけですね。
ストーリーを分岐させると視聴者にとっては非常に分かり辛く内容を把握はし辛くなるものですが、出来るだけ分かりやすく伝えようとしているのは伺えます。
鍵を握る重要人物として新たに登場した沙希ちゃんに関わる母親と姉の印象もリアリティがあり、沙希ちゃんを助けた渡辺夫妻の映像とその様子もストーリーに引き込まれるものを感じさせるのに充分な展開です。
夫妻の捉えた映像に映る顔のようなものは特に怖いとは感じませんが、不意に現れるびしょ濡れの沙希さんの姿そのものが非常に恐怖度が高いものと感じます。
廃人のようになった沙希ちゃんが突然、書きだす三枚の絵は鉛筆画ですが、非常におどろおどろしく、背筋を寒くさせるものであったりするし、庵堂准教授が関わる筋に繋がっているのは容易に分かる辺り、非常に作り込まれた内容であると思うわけです。
ここまで来て怖い映像などはともかく、先の内容が知りたいと強く感じさせる展開に非常に満足感を呼び起こしてくれる内容でした。
総評
前作は少々、パワーダウンしている印象がありましたが、今回はそれを払拭するくらいに細部に至るまでしっかりと作り込まれているのが感じる巻となっています。
新人演出補たちが増えて、新しく新体制となった菊池宣秀指揮下のほん呪作品は、過激なものになっていくわけですが、それはまた後日。
☟ネタバレや内容は以下のリンクから☟
・ほんとにあった! 呪いのビデオ62の内容
・ほんとにあった! 呪いのビデオ62のネタバレ