ほんとにあった! 呪いのビデオ26の視聴レビューになります。
初見は10年以上前であり、確実に女房と供に見ているわけですが、断片的にしか思い出せないのが、この辺りの時期ですね。
改めてみた感想となりますが、やはり完成度は作品が重なっていくほどに高いものになっていきますね。
ほん呪26の各章のレビュー
バンコク観光
ワットポーの中の108の煩悩ということですが、要するに寺院の金儲けであり、賽銭を観光者や他の人間に貢がせるためのものですね。
賽銭と言っても【サタン硬貨】というものを予め買っておいて、それを入れるというシステムが組み込まれている場所です(笑)
投稿映像では丁度、黒い坪から賽銭を回収する様子が映っているわけですが、その中の一つに赤ん坊の顔の様なものが映っているというもの。
然程、インパクトは感じられないし、怖いとも感じられなかったわけですが、気になるのはこうした由緒正しい寺院であっても、結局は金という事実ですよね。
まあ、結局は何をするにも金、金というのは常識であるわけですが、偉そうに講釈を立てられて、伝統がどうのと言われても金ってことなんだなーと感じるわけであり、どこか首を傾げたくなる気分です。
セミナー・キャンプ
今作一番の恐怖映像であると感じているのが、このコーナーの投稿映像です。
バンガローの外にいた色を失ったかのような女性が、数秒後には間近に迫ってきているという状態は、背筋がゾッとするのを止められません。
更にその女性の容姿までもがハッキリと分かるということであり、作り物のフェイクであったにしても、怖いものは怖いと認めざる得ないくらいに破壊力満点のものに仕上がっています。
心霊などのオカルトコンテンツに対しての耐性が乏しい人間は、これ一本だけで、暫くは後ろが気になって仕方がないという心境に駆られるのではないでしょうかね?
湯灌(ゆかん)
この後に本木雅弘の映画である【おくりびと】がブームになりましたが、丁度、その時期にほん呪でも取り上げたのがこのコーナーですね。
(時系列的には少々、コチラの方が早いですが)
映像そのもののインパクトはやはり強烈なものであり、映っている問題の心霊は顔がズタズタになっているということで、本編内で語られるストーリーとマッチしているものであると思います。
実際に結婚式場と葬儀社というのは密接な繋がりがあるものであり、冠婚葬祭という熟語の通りに、ベクトルが違うだけでありやっている内容は似たようなものであったりします。
心霊コンテンツそのものだけに注視するならば、確かに怖いというだけで評価できますが、湯灌(ゆかん)業は感謝されることはあっても、呪われることは断じてないと私は思っていたりするのですがね・・・。
ストーリー上では不幸があった黒川さんが仕事を放棄したからこそ、呪いが発動してしまったという設定にも見て取れるのですがね。
廃屋の住人
凄まじいコーナーですね。
正直なところ、恐怖度と言う意味では前述した【セミナー・キャンプ】と同等であってもおかしくはないのです。
が、こちらは心霊映像よりも廃屋の布団に衰弱死した老人のミイラがあったという事実のほうが先行して怖いという形で、敢えて前者の方が評価できるという形にしたんですがね。
現実的に言えば、あのような廃墟でミイラ化してしまうということはありえないと感じますが、コーナーそのものが凄まじいインパクトがあるということは間違いないわけで。
心霊というよりは、また違った人間社会の深淵に潜む問題をえぐったかのような内容は、素直に怖いと感じるものになっています。
オークション
Part26のメインエピソードであり、ある葬られた事件を掘り下げていくかの様なサスペンスチックな展開が非常に見ていて引き込まれます。
冷蔵庫というのは中からは絶対に開けられない作りになっているそうですが、それを知らない身体の小さい子供たちがかくれんぼの感覚で入ってしまって、実際に命を落とすというケースは少なからずあるわけです。
類似の事故として回っている洗濯機に入ってしまうというケースもあったりしますね。
平和で何事も起きない筈の中にも、潜んでいる危険を取り上げたのは、非常に生活感あふれて生々しいわけですが、このコーナーは少々、違う展開を見せることに。
合唱
心霊とは少々、違う意味合いの怖い映像と言えます。
ナレーションでは色々と言っていますが、これはどうみても歌っている女の子が少々の時間差とともに色彩を無くした状態で映っているものです。
間違いなく合成映像であると私は思っていますが、こうした表現で紹介されると、非常にインパクトがあり怖いと感じますね。
あまりにもナチュラルに問題の箇所に流れていくからこそ、余計に怖いと感じるわけで、こちらも非常に仕上がりの良いコーナーであると思っています。
シーソー
投稿者の彼女の女の子が可愛いし、どこか接写しているその様子が妙にエロいと感じるのですが、私も業が深いですね(笑)
しかし、問題の映像ですが、こちらも非常にインパクトがあり恐怖感を呼び起こすものになっています。
首がないから判別できないわけですが、それでもすぐに赤と白の衣類をきていて、小さいということだけで、それが少女だと分かってしまうというわけで。
補強的に紹介される近くの団地に住んでいた女の子がワイヤーで首チョンパしているという話も、映像をみて何だこれ?と感じる視聴者に納得されるものであり、完成度が高いショートコーナーであると思います。
続・オークション
問題の映像は確かに怖いものに仕上がっています。
ですが、本当に恐ろしいと感じるのは、夜泣きなどに苦しんで父親が子供を冷蔵庫に入れて死なせてしまっている事を暗に匂わせているストーリー展開そのもの。
そもそも子供は親の手を焼く存在であり、それを分かっていなければ当然、親なんてものは務まるわけがないわけです。
しかし親は日常のあらゆる摩擦と戦いながら、営みをし続けなければならない責務をおって生きているわけなので、あらゆるストレスがかかってしまうわけです。
ストーリー的には病気で妻を失ったことで、働くに加えて育児の責務を負ってしまった矢川さんがどういう状態だったのかが連想できるものになっています。
これは当然、フェイクメンタリーであるとは思いますが、実際にこういったことってあるんですよね・・・。
人間の怖さを心霊コンテンツに込めるという、児玉の手腕はやはり凄いものであると改めて感じさせるコーナーでした。
シリーズ 監視カメラ 製作委員会スタッフルーム
スタッフルームに監視カメラが付くようになった経緯は、過去の作品で表現されています。
ほん呪14のネタバレになりますが、非常に変則的な演出に戸惑うばかりです。 例によってこれからレンタルなどで借りて見てみよ…
このコーナーではPart24の【ダビング】からおかしなことが起きるというようなニュアンスで語られていますが、実はその前から起きているという感じです。
Part26から演出補に焦点をあてたストーリー展開になっていくというのが、しばらくの定番パターンになっていくと感じます。
これまでは、演出補が目立つということはあっても、あくまでコーナーを補強する演出という形で存在でしたけど、どんどん目立つ形になっていくわけです。
それに加えて、まるで過去に戻るかの様な演出というのも目立っていくのも定番化していきますが、その始まりとなる回がPart26であったと思います。
このコーナーで一時的に移転することになったスタッフルームは、中村義洋時代からのものであり、暫くの間、視聴者も見慣れた光景である場所がしばらくお預けとなるのは少々、微妙な気持ちになったりします。
菊池が感じた問題の霊は、映像に映っていますが、3階の足場がない窓の外を歩いていく女性の霊というのは、その模様そのものは非常に奇怪であり興味深いものであるといえます。
総評
Part26はコーナーそれぞれが丁寧に作りこまれた心霊を紹介するコンテンツ群としては、非常にクオリティの高いものに仕上がっています。
そして、それまではあくまで投稿者を主体にしてコーナーが作られていくという定番を逸脱して、演出補、スタッフを主体にという定番に切り替わっていく流れになっていきます。
演出補として際立った活躍をしてキャラが立っている岩澤や菊池という人材が加わっている所以のことでしょうね。
それに加えて児玉和土が得意とする人間描写演出が重なって、ほん呪は黄金期を向かっていくことになるわけです。
そんな起点となるのがPart26であったと個人的には作品を見ていて感じましたが。
☟ネタバレや内容は以下のリンクから☟
・ほんとにあった! 呪いのビデオ26の内容
・ほんとにあった! 呪いのビデオ26のネタバレ