
ほんとにあった! 呪いのビデオ17のレビューです。
完全に本作の主人公は演出補の中晶子であると言える様な内容でしたが、感想をつづっていきます。
ほん呪17の各章のレビュー
福田陽平が監督している辺りから、更に女性の演出補が前面に押し出されるかのような演出が一段と目立つようになっているのが改めて分かる。
これまでにも中村義洋&鈴木謙一コンビによる演出では、井口綾子の存在が多少あったものの目立たせるというものではなかったですね。
松江哲明の時には樋渡麻美子や中西佳代子を押し出すも、どこか不快感だけが残るという具合になり、坂本一雪のときから女性を前衛として出していくという演出があり、福田陽平で完成して現在にも受け継がれている様にも見て取れます。
と、少々、脱線してしまいましたが、今回は非常に地味で幸薄い印象のある女性演出補が頭角を現してくるかのような演出が印象深いものとなっています。
樹霊
上京して実家に帰った投稿者がかわいい甥の姿をカメラに収めているという前置きのプチ設定が心地よい。
私も甥っ子が可愛くて仕方がないタイプの男でして、自分に子供がいないということもあるのでしょうが、本当に可愛いんですよね。
『あー、すごいその気持ちよくわかる。』と感じさせた上で、やってくる板垣恵介の漫画にでてくる久我重明と瓜二つの樹霊と目される物体。
木に宿る霊という古くからの逸話は、どこか神秘的な印象があったりするので、怖いとは感じませんでしたけど、顔だけ見れば怖いと感じても不思議ではありません。
湖の底から
取材模様の映像でどうも演出補の中晶子の身構えた佇まいが気になってどうしようもないわけですが、このコーナーも作りこまれた感があるものになっています。
肝心の映像そのものも非常にインパクトがあり、おぞましい霊の姿が映り込んでいるので、結構、トリでも良かったのではないのかな?って位の仕上がりになっているかと。
もちろん、これもガチであると前提の上でレビューをさせていただくと、問題なのは中晶子がインタビューしたボート置き場の係員のジージさんですよ。
まるで取材にきた中晶子やスタッフを必要以上に怖がらせるかのように、過去、湖で起きた事件を惜しげもなくベラベラと喋るというのは、いかんともしがたいと感じるわけです。
取材側からすれば非常においしいわけですが、施設的には『調子に乗って、余計なことをベラベラしゃべってんじゃねー!』という具合でもおかしくないはず。
また更に投稿者とその女友達ですが、そもそも深夜の閉鎖されているボート置き場に勝手に入って、勝手にボートに乗っているというのは犯罪行為であったりします。
それを怖い映像をとってしまったからというだけで送り付けて取材に応えるというのも、どこかネジが飛んでいるのか・・・と勘繰ってしまうわけです。
と、その複数の点が過剰ともいえるので、ヤラセ感MAXなわけですが、敢えてガチと前提とするならば、そう思うということで。
死神の告知
投稿者の女性がやたら『収録、収録』というのが非常に気になるコーナー。
なんかプロ気取りの様にも思えたりもするわけですが、実際にスケーターの若者が周囲の迷惑も顧みずに深夜、遊んでいるところをカメラ撮りして、それを編集するというだけのものでしょう。
ところがカメラを回していた仲間がトラックに轢かれそうになる、その時に死神がうつっていたということなのですが、解せないところがあります。
トラックのヘッドライトの直射をカメラのレンズが捉えた場合、辺りが夜ならば乱反射して異様な映像がとれてしまうことは誰にでも、どんな状況であっても起きるわけです。
そして、それは人の目からすると青白くうつることも少なくないわけで、その中にうつったのが死神であると必要以上にビビっている投稿者たちが、私は見ていてどうもしゃらくさいのですよ。
撮影者の彼が亡くなってしまったことに、無理にこじつけているようにも見えるわけですが・・・。
防空壕の奥から・・・
地味でありながら、非常にリアリティが感じられる投稿映像ですね。
ビデオの質感も古く、登場する作業員たちも実際に玄人感が出ているわけで、そこに何気なく映り込んで和服を着ているような霊の存在。
和服を認識できるのは一瞬だけなのですが、明らかにこれは妙なものが映り込んでいると、誰でも気づくものであります。
ほん呪の紹介映像の中には、投稿者がよくこんなんで気づいたな・・・と思うものも多数あり、それがフェイクですと言っている様にも思える興ざめなパターンも多いわけです。
しかし、これはこういうのって本当にあってもおかしくないよな・・・と連想させるに充分な内容であると思います。
叫ぶ手
問題の映像、そのものだけを見ていれば、『誰かがいただけなんじゃないの?』的な特にインパクトがあるわけでもない。
ですが、もっと視野を広げてみると、気味が悪い気持ちが沸々と出てくるのです。
サーファーが集う海ですから、至る所に人がいるわけなので、海に落ちた人間がうつっていたにしてもおかしくないのですが、映像ではかなり強い波が海岸にめがけて押し寄せている状態なわけです。
そんな勢いの水中で、天に向けて手のひらを広げて突き出すことが出来るというのは難しいわけで、もしもこれがトリックなどであるならば命をかけたものになるわけです。
その点を考慮するとガチに近い投稿映像であると言えるかもしれません。
ですが、当時の映像合成技術であっても、割と溶け込んでいるフェイクは家庭のPCレベルでも簡単に出来てしまうので、何とも言えませんが・・・。
振り返る地蔵
沢山の地蔵さんが祀られているというだけでも、あまり神秘的なことに意識を揺さぶられない方ならば、単純にそれら地蔵をみて可愛いと感じることだとおもう。
なので、映像にうつる女性がツルツルで愛らしい地蔵さんをナデナデするという気持ちは分からなくもありません。
しかし、それに対して地蔵がキレるといった具合の奇妙な振り返り映像が少々、タダゴトではない雰囲気を醸し出しています。
ですが、私的に言えば明らかに振り返っている地蔵の顔は映像合成でベタっと正面から撮った地蔵の顔を貼り付けられいるように感じるわけで、そちらの方がバチアタリに思うんですけど、どうでしょうか?(笑)
彼女の背後に・・・
よくある話ですね。
そもそも私個人的に言えば、ストーカーをされる方にもそれなりに何らかしらの原因があるようにも思えます。
多かれ少なかれ相手に気を持たせてしまった時点で自業自得な気もするのですが、だからといってストーカーが気持ちの悪い勘違い人間であるということには変わらない。
しかし、問題の映像は非常に怖い代物として仕上がっており、これは二昔半前の中岡俊哉が監修した心霊写真集に出てきそうなおどろおどろしい顔が一層、恐怖感を引き立たせています。
ほん呪17の中では一番、怖い映像に仕上がっているといえるでしょう。
呪われた病院
前置きとして、キケンと書かれたメモとお札が添えられているということ。
そして赤いビニールテープでぐるぐる巻きにされたHi8テープというだけで、もはや完全にコピー勝ちの様相を呈しているコーナー。
それだけで先が気になって仕方がないという状態で完全に期待してみてしまうわけです。
問題の映像も散策している人間たちの動揺が感じられるものであり、現れた霊の映像も普通に怖いと感じさせるクオリティであると思います。
一つのコーナーとしての完成度は、非常に高いものであるといえます。
仲間に入れて・・・
演出補の中晶子が登場した中で、おそらく一番の活躍をした一本であると言ってもいいコーナー。
フラットな気持ちを忘れずに、冷静な視点で見れば、明らかに取材スタッフがやるべきことから逸脱しているわけで、どこか余計なお世話と感じる部分もあるわけです。
ですが、誰がどうみても大人しそうで真面目さが顔に出ている彼女が気持ちを込めて取材をしている様は、イジメられて自殺した少年を弔うという気持ちだけではなく、これから生きていくイジメた張本人の少年をも救いたいという真摯な気持ちが出ているわけです。
映像そのものも非常に完成されたものであるといえますが、それ以上に光っているのが演出補の中晶子ですよ。
これが細部まで作りこまれた台本ありきのドラマであったとしても、見ていてすごく気持ちがよいものになっていると思います。
もの凄く得体の知れないこの状況を何とかしたいという中晶子の心情がダイレクトに描写されている一本です。
と、やたらと褒めすぎてしましましたかね・・・。
要らん事をついでにいいますが、私的には地味で真面目、口数の少ない女の子がマジになって何かを頑張ろうとするその姿勢や態度が非常に美しく感じるわけです。
正直、もっと顔立ちの良い女はいるし、色気のある女はごまんといるわけですが、それよりも前述したようなあまりお目にかかれないタイプの人のほうに魅力を感じてしまうので。
緊急報告
かなりオーバーな予告編です。
次回作は黒狐が主要エピソードになっていくわけですが、予告編で使われている激しい動きは本編では使われていなかったわけで、これは釣りと呼ばれても仕方ないくらいの誠実さがない予告編であるといえます。
総評
ほん呪17は割と初見の時には記憶に残らなかったわけですが、改めて見ると秀作であると言えます。
しかし、何と言ってもこの回のMVPは中晶子であり、今後、もっとマスクの良い女性演出補は出てきますけど、女性の強さが感じられ、優しさも兼ね備えてるという印象を強く与えてくれる演出補は川合尚美の登場まで待たなくてはいけないというところでしょうかね。
☟ネタバレや内容は以下のリンクから☟
・ほんとにあった! 呪いのビデオ17の内容
・ほんとにあった! 呪いのビデオ17のネタバレ
関連コンテンツ一覧
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。